トロンフォーラム

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

2021年末に開催したTRONシンポジウムは、今回もネットとリアルのハイブリッド方式で無事に開催する事ができました。シンポジウムのテーマは「Rebooting」、「再起動」。

コロナ禍で委縮してしまった社会全体をデジタルの力で「Rebooting」させ、これまでとは異なる新しい常識、常態 ─ ニューノーマルを確立するにはどうするか。TRONプロジェクトで各プロジェクトが取り組んでいる活動は、このRebootingを促すための要素技術です。

TRONプロジェクトでは、コンピュータが組み込まれたモノ同士が互いに連携して、便利で快適な社会を実現することをHFDS(超機能分散システム) ─ 最近ではモノだけでなくサービスの連携も含めてAggregate Computingモデルと呼び、その実現を目指してきました。

今回のTRONSHOWでは、その要素技術であるIoT-Engineの最新版や、その上で動作する組込みRTOS「μT-Kernel 3.0」のBSP(ボード・サポート・パッケージ)をはじめ、最新の成果、またサービス連携を実現する取り組みとして、私が機構長を務めるINIAD cHUB(東洋大学情報連携学 学術実業連携機構)とUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)による研究会「Open Smart UR研究会」の活動についてご紹介いたしました。 

また、私が会長を務めている「公共交通オープンデータ協議会(ODPT)」の活動成果として、TRONSHOWの最終日に「第4回東京公共交通オープンデータチャレンジ」の表彰式を実施しました。今回のチャレンジでは提供データの商用サービスでの利用も可能としたことから、Google マップをはじめ、民間事業者もご参加いただきました。この他TRONSHOWでは、IoT関連のセキュリティ脆弱性情報をご紹介するTIVACという活動や、社会人の再教育(リカレント教育)としてINIADが中心となって行っている「Open IoT教育プログラム」等もご紹介しました。

トロン協会の活動を引き継ぐ形で2002年に「T-Engineフォーラム」として設立したトロンフォーラムは、今年でいよいよ20周年を迎えます。TRONSHOWのセッションでもご紹介したように、TRONのOSは人工衛星やロケットの制御にも使われている他、各種制御機器や通信端末、プリンタ、デジタルカメラ等、みなさんの身の回りの多くの製品に採用されて、それらの機器を止めることなく、あるいは止めないといけないときには確実に止めて、社会基盤を支えています。

残念なことに、まだまだ新型コロナウイルスの影響は大きく、日々、注意をしながら生活を行う必要があります。一方、デジタルの力で徐々に社会活動がRebootingしつつあることも、確かです。そのRebootingのベースに、TRONプロジェクトの活動成果が役立てられていることは、プロジェクトに関与するすべての方の努力によるものとして大変感謝しております。

今年もTRONプロジェクトをどうぞよろしくお願い申し上げます。

坂村 健

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