トロンフォーラム

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

1984年にスタートしたTRONプロジェクトは、昨年40周年という節目の年を迎えました。この記念すべき年に、「TRON電脳住宅」が世界初のインテリジェントハウスとしてIEEEマイルストーンに認定される栄誉を受けました。

これは一昨年の「TRONリアルタイムOSファミリー」に続く二年連続の認定であり、基盤技術と応用技術という両輪でのTRONのアプローチが高く評価されたことを示しています。1989年に建設されたTRON電脳住宅は、35年前の当時としては画期的な、コンピュータによる総合的な住宅設備制御システムを実装し、省エネルギーと快適性を追求した実験住宅でした。その歴史的価値が国際的に認められたことを大変誇りに思います。また秋には、長年の日本のコンピュータサイエンスへの研究貢献が評価され、瑞宝中綬章を授与されました。これもひとえに皆様方の温かいご支援の賜物と、心より感謝申し上げます。

昨年12月には、恒例のTRONシンポジウムも心機一転、渋谷パルコDGビルに会場を移し、ハイブリッド開催前提のセミナー中心スタイルに変革して開催いたしました。また、主要マイコンメーカー4社との共同で「TRONプログラミングコンテスト」を開催することができました。今年も第2回コンテストを実施する予定です。従来、組込みシステムの多くは独立して動作する製品として開発されてきましたが、今やあらゆる機器がネットワークにつながるIoT時代を迎え、組込み技術者には新たなスキルが求められています。このコンテストを通じて、技術者の皆様のスキルアップを支援するとともに、IoTの新たな可能性が広がることを期待しています。

このようなTRONプロジェクトの取り組みは、まさに今日の社会課題に応える可能性を秘めています。昨年の「観測史上、最も暑かった夏」により、今まで欧米に比べ関心が低かった日本でも気候変動の脅威が意識されるようになってきました。一昨年のTRONシンポジウムでは『DX2GX』をテーマに掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)からグリーントランスフォーメーション(GX)への展開に注目しました。そして昨年は『AI✖TRON』をテーマに開催。急激なAIの進歩により、一方ではデータセンターでのエネルギー消費の増加が危惧されていますが、もしIoTの普及とAIの進歩の理想の組み合わせが実現できれば、快適生活を維持しながら地球環境をサステナブルにする鍵にもなりえるでしょう。

こうした時代の要請に応えるべく、私たちは40年の経験と実績を活かし、さらなる技術革新に取り組んでまいります。TRONプロジェクトは今後も、基盤技術と応用技術の両面から社会に貢献できるよう邁進して参ります。引き続き変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

坂村 健

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