トロンフォーラム

2020年もTRONプロジェクトをよろしくお願い申し上げます

TRONプロジェクトを開始した1984年から35周年にあたる昨年のTRONSHOW2019も、皆様のおかげで盛大に開催されました。ご協力、ご参加いただいた皆様に感謝いたします。このTRONSHOW2019のテーマは「Super & Safe City」としました。

2020年は東京で国際的なイベントが多数実施されます。世界中の注目が、この東京という街に集まります。オープンデータやIoTなど、近年TRONプロジェクトで力を注いできたテーマの研究成果を遺憾なく発揮して、2020年の東京を盛り上げていきたいと思います。

このうち「オープンデータ」に関しては、内閣官房IT総合戦略室、国土交通省、東京都を共催に加え、「第4回東京公共交通オープンデータチャレンジ」を実施しています。国際的なイベントが多数行われる首都圏を移動する旅行者の個々のニーズに対応できる各種アプリケーションの開発を、公共交通オープンデータ協議会に参加する各交通機関の方々からお預かりしたデータを提供することを通じて、積極的に推進しているところです。第4回チャレンジの賞金総額は300万円。作品の応募締切は2020年10月15日までですが、締切よりも前に多くの作品が一般公開されて、東京をはじめ首都圏を移動する旅行者の方々の支援に役立つことを期待しています。

またIoTに関しては、IoTエッジノード端末向けOSのIEEE標準「IEEE 2050-2018」になったμT-Kernel 2.0の後継として、μT-Kernel 3.0の仕様書及びリファレンスソースコードの一般公開をTRONSHOW2019の初日に行いました。このμT-Kernel 3.0の一般公開にあたり、TRONプロジェクトとしては初めて、「GitHub」での公開も行いました。多くのプログラマが日常的に利用しているGitHubで公開することで、「T3世代」のTRON OSの開発を担当しているトロンフォーラムのT3WGだけでなく、世界中の有志によってμT-Kernel 3.0が発展していくことにも期待しています。

さらにTRONSHOW2019では、トロンフォーラム傘下の団体として新たに「TRON IoT脆弱性センター」を開設したことを発表しました。研究段階から実用段階になったIoTの脆弱性は、エッジノード端末からクラウドでのデータ処理に至るまで、人々の生活や企業活動の様々な場面に影響を及ぼすことになります。この問題に適切に対応していくことは、組込み分野でトップシェアを維持し続けているTRONプロジェクトの推進団体であるトロンフォーラムにとって、重要な責務の一つであると言えます。

TRONSHOW2019でご紹介したさまざまな課題に対して、TRONプロジェクトにご協力いただいている多くの方々との連携を通じて、具体的な解決策をご提示してまいりたいと思います。2020年もTRONプロジェクトをどうぞよろしくお願い申し上げます。

坂村 健

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