(1)リアルタイムOSはどこに組み込まれているのか
家庭に、オフイス、工場に、車に、社会に、そしてモバイルに リアルタイムOSはあらゆる生活空間に応用されています。
(2)市場の求める技術状況の推移(リアルタイムOSが使用される背景)
従来のAV技術、PC(パソコン)技術、通信技術が組み合わされて新しいデジタル情報家電技術へと推移し、今後はユビキタスコンピューティング(至る所にコンピュータが埋め込まれて人間社会をバックアップする)へと進化します。ここでは高度なネットワーク技術とセキュリティ技術が求められます。
(3)組込みソフトウェア開発に求められる要件
- ますます大規模、複雑化するプログラム
- 急速な技術進歩、開発サイクルの短縮
- 開発の低コスト要求
これらに対し、組込みソフトウェア開発では、以下の要求が強くなっています。
(4)アプリケーションとハードウェア制御の分離
近年、組込みシステムは、高機能化に伴い、アプリケーションプログラムが複雑化、大規模化しており、システムの検証に多くの時間を費やします。更には、組込みシステム製品自体の製品寿命が短命になってきており、タイムリーな市場投入が必要で開発期間が非常にタイトになってきています。このため、アプリケーションプログラムは短期間での開発、生産性の向上が必要になってきています。
アプリケーションプログラムがハードウェアを直接制御すると、アプリケーションプログラムのハードウェア依存性が大きくなり、再利用性は低くなります。組込みリアルタイムOSを介してハードウェア制御を行なえば、アプリケーションプログラムのハードウェア依存性は小さくなり、アプリケーションプログラムの再利用性は高くなります。
このように、リアルタイムOSによって、アプリケーションプログラムとハードウェア制御部を分離し、ハードウェア制御をリアルタイムOSが吸収することで、アプリケーションプログラムの再利用性や生産性の向上をねらうことができます。
(5)ソフト資産のメンテナンスが容易になる
リアルタイムOSを導入することによって、プログラム構造の可読性を良くし、再利用可能な部品化を進め易くすることができます。
(6)ミドルウェア、ドライバの流通
これからの組込み機器は、自社が得意とする技術をコアに、ネットワーク化などの多機能化による高付加価値化を実現することが重要になってきます。 開発コストを抑えるためにソフトウェア市場に流通しているソフトウェアの活用が進みます。また、自社のソフトウェアを市場に流通させるビジネスが拡大します。そのためにも、標準のプラットフォームとしてのリアルタイムOSが必要となります。
ドライバって何?
LANコントローラなどのようにリアルタイムOSの機能を使いながら、アプリケーションにハードウェア制御の機能を提供するソフトウェアです。
ミドルウェアって何?
画像圧縮伸張などのようにリアルタイムOSの機能を使いながら、アプリケーションにOSにない機能を提供するソフトウェアです。
通常、ミドルウェア、ドライバは組込みリアルタイムOS上で動作します。組込みリアルタイムOS上で動作するソフトウェア部品として現在では以下のようなものが流通しています。
(TCP/IPプロトコルスタック、ファイルマネージャ、USBプロトコルスタック、Bluetoothプロトコルスタック、IrDAプロトコルスタック、GUIライブラリ、 画像圧縮伸張、音声圧縮伸張、音声認識、音声合成、文字認識、Webブラウザ、暗号ライブラリ、指紋認証、etc.)
(7)応用製品
身の回りにある組込みシステムには、ほとんどマイクロプロセッサが搭載されており、そのほとんどに、組込みリアルタイム OSが利用されています。組込みリアルタイムOSは、ある特定の分野に特別に利用されているということではなく、様々な分野に利用されています。
近年では、携帯電話、自動車、カーナビゲーションシステム、デジタルカメラ等 高性能なシステムにも利用されています。