
T-Engine
1. T-Engineの目的
T-Engineプロジェクトでは、ユビキタスコンピューティング環境を実現するコンピュータの開発効率を向上させるために、まず基盤となるハードウェアの仕様を標準化し、その上で動作する標準リアルタイムOS "T-Kernel"を開発しました。T-Engineアーキテクチャの最大の目標は、T-kernel上で作られたミドルウェアやデバイスドライバをはじめとするソフトウェア資産を、CPUのアーキテクチャによらず流通させることです。
T-Engineの開発には、すでに多くの国内外のハードウェア、ソフトウェア、システムメーカが参画しており、主要なCPUコアを網羅した数多くのT-Engineが製品化されています。
2. T-Engineアーキテクチャ
T-Engineのハードウェアは、応用や外形寸法によっての4つのファミリに分類されます。
(1) 標準T-Engine(標準・ティ・エンジン)
標準T-Engineは液晶やタッチパネル等のインタフェースを備え、携帯情報機器などの比較的高度なユーザインタフェース持つ機器を開発するためのプラットフォームです。USBやシリアルI/Fなどの汎用性の高いインタフェースを搭載していながら、外形寸法が75mm x 120mmと大変コンパクトであり、そのまま量産品に応用することも可能です。
(2) μT-Engine(マイクロ・ティ・エンジン)
μT-Engineは、標準T-Engineと比較して液晶やタッチパネル等のユーザインタフェースが省略されている分、外形寸法が60mm x 85mmと更に小型であり、より機器制御へ特化した開発プラットフォームです。
(3) nT-Engine(ナノ・ティ・エンジン)
nT-Engineは、主に外部電源で有線接続が前提のネットワークノードで、照明器具やスイッチなどを制御するユビキタス向け実行プラットフォームです。nT-Engine同士が互いに接続され、リアルタイムネットワークを構成します。
(4) pT-Engine(ピコ・ティ・エンジン)
pT-Engineは超小型、超低消費電力の無線ネットワークノードで、様々なモノや環境に取り付けてセンサネットワークを構成する実行プラットフォームです。


T-Kernel
T-KernelはT-Engineプロジェクトから生まれた新しいリアルタイムOSです。組み込み機器分野において多くの実績があるμITORNの成果を生かしつつ、新世代のオープンリアルタイムOSとして設計・開発されています。
T-Kernelが他の多くのオープンソースプログラムと異なるのは、ソースコードが一元管理されたシングルソースコードということです。これは強い標準化と呼ばれ、T-Engineが目的とする「ミドルウェア流通のためのプラットフォーム」を実現するための仕様の一部です。
またT-Kernelは、GPL(General Public Lisence)と異なるT-Lisenceという規定によって配布されます。
これは、オリジナルのT-Kernelコードを、勝手に改変し、配布することはできないが、逆に改変コードの公開義務は無いというものです。このようなライセンスは、製品ノウハウに直結するソースコードの公開を避けたい場合に有用です。
T-Kernel Standard Extension
T-Kernel Standard Extensionは、T-Kernelの標準的な拡張機能を提供するためのNative Extensionです。これを導入することにより、T-Kernelはプロセス単位のプログラム管理、ファイルシステムによるファイル管理、などの拡張機能を使用できるようになります。
主な機能は以下の通りです。
- プロセス毎に独立した論理空間を割り当てるメモリ管理
- マルチプロセス/タスクに対応したスケジューラ
- プロセス間のメッセージ通信
- セマフォ等によるタスク間同期
- 共有メモリのグローバル名による管理
- 各種ファイルシステムに対応した標準入出力管理、及びT-Kernel標準ファイルシステム
- デバイスドライバ/アプリケーションで発生するイベントの統一的な管理
- 時間管理
- システムプログラムのロード/アンロード
- T-Kernelのソースコードを無償で自由に複製したり改変できる。
- それをバイナリ形式で製品に搭載し、製品として自由に販売・頒布できる。その場合でもライセンス費用は無償。
- 製品にはT-Kernelを利用した旨の表示をする必要がある。
- ソースコードの利用者はかならずT-Licenseを締結してT-Engineフォーラムからダウンロードする必要がある。
- T-Kernelのソースコードを元に改良・改変したソースを第三者に「配布」するには登録が必要。
- T-Kernelのソースコードについて第三者の著作権侵害をしていなことを保証するが、目的適合性、特許権侵害については保証していない。
- T-Kernelのソースコードには著作権が存在し、T-License違反については著作権侵害に基づく措置がとられる。




センサーネットワーク
センサーネットワーク
センサーネットワークは、ユビキタス社会において、「状況認識(Context awareness)」を実現するための技術の一つです。具体的には各種センサーに接続されたnT-Engine、pT-Engineが各のセンサーから収集した環境情報をUC(Ubiquitous Communicator)やnT-Engine、pT-Engineに提供することや、環境情報に基づいてnT-Engine、pT-Engineに接続されたアクチュエータの制御を実現するネットワークです。
nT-Engine
nT-Engine(写真1)は、センサーと接続して環境の情報を収集し、その情報をもとに快適(最適)な状況になるように環境を制御するためのノードです。
nT-Engineはセンサーノードやアクチュエータノードとして機能する必要があるため、多様なインターフェイスを搭載しています。今回YRPユビキタスネットワーキング研究所で試作したnT-Engineでは、シリアル、汎用I/O、AD、DA、PWM、各種タイマ、割り込み、DMX(調光)等のインターフェイスを搭載しました。
ネットワークプロトコルとしてはUNP(Ubiquitous Network Protocol)を新規に開発し、nT-Engine上に実装しました。UNPはユビキタス環境下で情報を収集したり機器を制御するためのプロトコルであり、図1のようなプロトコルスタックとなっています。UNPではネットワークの自動構築機能やセキュリティ機能を標準でサポートするなど、ユビキタス時代にふさわしいプロトコルとなっています。
nT-Engineの応用例としては、住宅内における照明・空調・ドア・ブラインドの制御や、ビル管理システム、自動車のボディ系システム、高速道路関係などが考えられています。また、システムソリューションという観点からは、nT-Engine単体ではなく、UC(Ubiquitous Communicator)やpT-Engineとの連携した動作が非常に重要になってきます。
TRONSHOWでは、住宅向けソリューションの提案という形で展示を行います。
pT-Engine
pT-Engine(写真2)は、電源、マイクロコンピューター、各種センサーを搭載したユビキタス社会における超小型アクティブ無線ノードです。
pT-Engineを様々なモノや環境に取り付けることで、搭載したセンサーとマイクロコンピューターにより環境情報を継続的に収集し内部に蓄積することができます。また、1台の基地局機能を持ったnT-Engineと1000ノードのpT-Engineが通信することができ、環境の情報をnT-Engineが構成するセンサーネットワークから利用することが可能です。
pT-EngineはeTRONを利用した認証や蓄積した情報の暗号処理をすることでセキュアな通信やセキュアな情報の管理が可能です。
今回YRPユビキタスネットワーキング研究所で試作したpT-Engineは微弱無線通信方式を採用していますが、今後は高精度な位置測位が可能なUWB(Ultra Wide Band)通信の利用を考えており、複数のnT-Engine基地局を利用した3点測量による位置情報と温度などの環境情報を関連づける事が可能です。


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