
現在ユビキタスコンピューティング(Ubiquitous Computing)、あるいはパーベイシブコンピューティング(Pervasive Computing)というのが我が国だけでなく、世界的に話題になっています。 これはあらゆるものの中に非常に小さなコンピュータのチップを入れ、それらをネットワークで結び相互に情報交換させることによって社会システムを構築していくものですが、これは20年近く前にトロンプロジェクトで「どこでもコンピュータ」という名で研究を進めてきた超機能分散システムとまったく同じです。それがハードウェア技術の進歩にともなって今ようやく現実のものとして実現できるようなフェーズになってきました。
トロンプロジェクトでは、組込システムやセキュリティシステムの20年近い研究の集大成として、昨年、ユビキタスコンピューティング環境の開発プラットフォームを構築するT-Engineプロジェクトを発足させ、今年の6月にそれを推進する組織として「T-Engineフォーラム」を設立しました。おかげさまでT-Engineフォーラムは当初22社の賛同を得て発足しましたが、2002年度末には会員会社が100社近くにせまる勢いで、多くの会社の賛同を得ています。国内だけでなく、欧米の企業も参加を表明しています。 T-Engineは組込システム開発のためのオープンな開発プラットフォームです。CPUフリーでT-Kernel、T-Monitorの制御のもとに各種のミドルウェアを完璧に流通させることを目的としています。さらに「どこでもコンピュータ」時代の新しい情報インフラとして、インターネットのようなセキュリティの弱い情報通信路でも安全に情報や権利を受け渡すことのできる、非常に強固なセキュリティを実現する「eTRON」アーキテクチャを搭載しています。
既にコマーシャルベースで10種類近いT-Engineボードがリリースされ、ユビキタスネットワークの情報端末やIP電話などアプライアンスも提供され、多くのミドルウェアも流通されはじめるなど急激に関心を集めています。 今年のTRONSHOWではこのT-Engineを中心として現在の最新成果を紹介し、携帯電話や携帯情報機器、情報家電などの応用製品を効率よく開発するためのツールとしてT-Engineがいかに有効であるかを知っていただきたいと思っています。
また、例年同様コンピュータによるハンディキャップサポートを考えるTRONイネーブルウェアシンポジウム「TEPS2003」も「ユビキタス・コンピューティングとイネーブルウェア」のテーマで併せて開催いたします。
最後に、開催にあたり、日頃よりトロンプロジェクトを支えてくださり、今回特別協賛をしてくださったアプリックス、イーソル、NTTデータ、サトー、T-Engineフォーラム、東芝、パーソナルメディア、日立製作所、ピンチェンジ、三菱電機、矢崎総業、横須賀テレコムリサーチパーク各社に感謝するとともに出展各社の皆様にも厚くお礼申し上げます。
トロンプロジェクトシンポジウム実行委員会委員長
坂村 健
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