トロンフォーラム

機能安全規格に対応した組込み用リアルタイムOS「TRON Safe Kernel」の仕様策定・開発を行うための新WGを設立

- 開発した仕様書やソースコードを一般に向けて無償公開 -

オープンソース、オープンデータおよびオープンAPIで、組織や応用に縛られないオープンIoTの実現を目指す、トロンプロジェクトの推進母体であるトロンフォーラム(東京都品川区、会長:坂村健・東京大学教授)は、機能安全規格IEC61508 SIL3に対応したリアルタイムOS(以下、RTOS)として「TRON Safe Kernel」の仕様策定・開発を行うために新しくTRON Safe Kernel WGを設立し、仕様およびソースコードを一般に向けて無償公開することを目指した活動を開始いたします。

近年、組込みシステムのさまざまな分野で機能安全認証の必要性が高まっています。特にインフラ機器は我が国の成長戦略分野であることに加え、こうしたインフラ機器に組み込まれるRTOSで60%のトップシェアを誇るトロン仕様RTOSが機能安全規格に対応することが強く求められています。このため、トロンフォーラム内に「TRON Safe Kernel WG」を設立し、各種の機器メーカ、マイコンメーカ、開発環境メーカなどで仕様策定・開発を行ってまいります。本WGの座長はトロンフォーラム会長である坂村健・東京大学教授が就任します。また、開発した仕様やソースコードは、現在、トロンフォーラムが公開している最新版RTOSである「T-Kernel 2.0」と同様に、一般向けに無償で公開します。これにより組込み機器メーカなどが、機能安全に対応した組込み機器の開発を行うことが容易になります。

「TRON Safe Kernel」は、従来のトロン仕様RTOSを拡張し、機能安全規格IEC61508 SIL3の認証ソフトウェアのOSとして使用が可能であり、かつ、機能安全アプリケーションを実現するための以下のような機能を実現することを目標とします。

  • 故障検出や時間制約などの安全機能
  • 既存ソフトなど安全水準の低いソフトを分離実行するための機能

また、IEC61508以外の安全規格への対応も今後検討していきます。

トロンフォーラム会長である坂村健(東京大学教授/ YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長)は次のように述べています。
『トロン仕様リアルタイムOSは、全世界に対してトロンフォーラムの公式webサイトから公開している、世界で最も使われている最新のリアルタイムOSです。今回、仕様策定・開発する「TRON Safe Kernel」は、今後さまざまな組込み機器に、多数、利用されることを期待しています。』

以上

【トロンフォーラム】

ユビキタス・コンピューティングの実現を目指して、坂村健(東京大学教授)が提唱する汎用状況識別基盤とリアルタイム組込みシステムの開発効率向上のための標準化を進める国際的なNPOです。トロンフォーラムでは、「オープンソース」、「オープンデータ」、「オープンAPI」で、組織や応用に縛られないオープンなIoTの実現を目指しています。
URL: https://www.tron.org/ja/

【T-Kernel 2.0】

T-Kernelは、組込みシステムにおいて多くの実績を持つトロンをベースとした組込みリアルタイムOSです。トロンフォーラムからオープンソースとして、全世界に無償で公開されています。T-Kernel 2.0は、T-Kernelの基本コンセプトはそのままに、新しい時代の要請に合わせてバージョンアップした最新のリアルタイムOSです。

【機能安全規格IEC61508】

機能安全規格IEC61508は、鉄道・プラント・発電所・機械・医療機器・家電などのシステムのリスクを軽減するために使用するコンピュータ・ソフトウェアの安全性を高めるための分野別機能安全規格の原本です。欧州ではこれを基にした整合規格も整備され、運用されています。本規格では、対象とするリスクのレベルをSIL(Safety Integrity Level)と呼ばれる指標に基づき、最終製品に実装される安全制御機能に注目し、定性的および定量的観点による評価が開発構想設計段階から詳細設計に至るまでハードウェア・ソフトウェアおよびその開発プロセスに対して厳しく行われます。今回、対象とするSIL3はOSとして最高水準の安全性を示します。

<この発表に関する報道関係からの問い合わせ先>

トロンフォーラム事務局(担当: 柏)
TEL: 03-5437-0572
FAX: 03-5437-2399
Email: press@tron.org
URL: https://www.tron.org/ja/

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