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T-License 2.0 FAQ

さらに自由度が増えたT-Kernel 2.0の利用ライセンス
T-License 2.0

T-Kernel 2.0の一般公開にあたり、トロンフォーラムは従来T-Kernelを公開していた際の利用条件であるT-Licenseを改定して「T-License 2.0」を発効させた。T-License 2.0で改定されたポイントと、具体的な適用事例をご紹介する。なお2011年12月から、いよいよμT-KernelもT-License 2.0とμT-Licenseのデュアルライセンスで配布を開始した。これによりトロンフォーラムから配布する全OSがT-License 2.0で利用可能となった。μT-Licenseではテストスイートを用いた適合性確認が必要だったが、T-License 2.0では特に適合性確認は必要としない。小型、小規模な組込み用途に適したμT-KernelがT-License 2.0によってさらに普及することを期待している。


誰でも再配布が可能に

T-Kernelは組込み機器に使われるOSである。したがって、配布にあたって組込み機器の開発に適した利用ライセンスが必要となる。このために作られたのが「T-License」である。
組込み開発の場合、性能を改善するためにOSのソースコードに手を加えて改良した箇所や、特殊なデバイスを使えるようにした箇所など、自社のノウハウにあたるためソースコードを開示したくない部分がある。オープンソースのライセンスとしてGPLは有名だが、要求があれば改良した部分のソースコードも開示しなければならないため、その義務のないT-Licenseは非常に好評だった。
T-Kernelは"Single One Source"という方針の下、基本的にトロンフォーラムのみが配布元となり、入手したソースコードに開発者が改造を加え、組込み機器を完成させるというモデルをとった。個々のCPUに適合させるために機種依存部を作成し、パッチとして配布はできた。また、特例として「改変版配布者として登録」という手続きをした組織が改変版を出すことはできるようになっていた。
だが、原則としてオリジナルのソースコードを改変したソースを単体で流通させることはできなかった。

T-Kernel 2.0とともにライセンスも進化
T-Kernelの最初のバージョンを公開してから9年が経ち、CPUはSoC化、高性能化が進んだ。それに応えて、進化したTRON OSである「T-Kernel 2.0」の仕様が策定され、2011年5月、満を持してT-Kernel 2.0の一般配布が始まった。同時に、その利用ライセンスもT-License 2.0として新しく規定された。

自由度の高さが大きな特徴
T-License 2.0の大きな改良点は3つある。

  1. オリジナルソースの再配布が可能
  2. 改変したソースの配布が可能
  3. 改変したソースを配布する条件を、開発者が指定できる

これを見ると、かなり自由度が高いことがおわかりいただけると思う。2はオリジナルの改変をするだけでなく、改変版として配布されたものを元に、これをさらに改変して配布することもできるのである。

ucodeによるトレーサビリティ
ここまで自由度が高いと、ソースコードが多数の改変を経て、何が何だかわからなくなるのではないかという心配が出てくる。
そこで、その改変履歴をトレースできるようにするサービスを提供し、改変版を配布する際には「ディストリビューションucode」を付けて配布してもらうことにした。ディストリビューションucodeの取得や検索は、トロンフォーラムの公式サイトにある「T-Kernelトレーサビリティサービス」というページからできる。登録時には、改変版を作る元になった配布パッケージのディストリビューションucodeを記録するようになっている。親は複数あってもよい。また、どこで配布や販売をしているかといった情報のリンクも登録可能である。

ビジネスにも個人利用にも対応
T-Kernel 2.0の利用者は多彩である。T-Kernel 2.0を元に開発した製品をビジネスにしたいという企業もあれば、ちょっと工夫してこんなことをできるようにしたのでみんなで共有して使ってほしいと考える個人もいる。
この区別を明確にするために、T-License 2.0では「特定多数への配布」と「不特定多数への配布」を区別して扱うようにした。前者はビジネス、後者は自由配布というわけだ。ビジネスすなわち前者では、改変部分の著作権の主張ができるが、後者は著作者人格権のうち同一性保持権は行使しないこととなっている。

組込み業界への寄与を期待
このように自由度と利用目的に適合する条件設定を可能としたT-License 2.0。今後はT-Kernel 2.0の普及とともに、T-License 2.0が組込み業界の発展に寄与することを大いに期待したい。

 


T-License 2.0 Q&A

図中のT-Kernel 2.0の右上にあるucodeマークは、ディストリビューションucode。番号が同じものは同じディストリビューションucodeであることを表す。

 

Q1

T-Kernelを知り合いにも紹介したいので、トロンフォーラムの公式サイトからダウンロードしたT-Kernel 2.0をそのままコピーして渡してもいいですか。

A1

はい、コピーして渡していただいてけっこうです。T-License 2.0は、トロンフォーラムの公式サイトからダウンロードしたT-Kernel 2.0をそのまま再配布できるようになっています。この「そのまま」という点がポイントです。配布する際には、何も足さず、何も引かず、手を加えないようにしていただければ、ダウンロードしたT-Kernel 2.0をCDに焼いて配っていただいてもけっこうです。その際、渡した相手の方には、T-License 2.0の各条項を順守するようにお伝えください。なお、再配布される際にトロンフォーラムや著作権者に対するライセンス料は発生しませんのでご安心ください。


Q2

組込みセミナーを主催しています。RTOSの教材に使いたいので、トロンフォーラムからダウンロードしたT-Kernel 2.0を生徒に再配布してもいいですか。また、何かライセンス料は発生しますか。

A2

はい、再配布していただいてけっこうです。A1と同様、そのまま手を加えないでいただければ、再配布が可能です。無償で実施する社内研修で再配布しても、有償で実施するセミナーで再配布しても、ライセンス料は発生しません。A1と同様、渡した相手の方には、T-License 2.0の各条項を順守するようにお伝えください。


Q3

組込みセミナーを主催しています。RTOSの教材に使いたいので、トロンフォーラムからダウンロードしたT-Kernel 2.0から少し不要な機能を削って再配布してもいいですか。

A3

はい、再配布していただいてけっこうです。ただし、このケースはそのまま再配布するのではなく、「少し不要な機能を削る」とあるように、オリジナルに対してひと手間を加えています。この「ひと手間を加える」ことは、T-License 2.0でいう「改変」に相当します。T-License 2.0では改変したソースコードも再配布できます。その際、T-Kernelトレーサビリティサービスに、元となったソースコードが何であるかを登録した上で「ディストリビューションucode」というユニークなコード番号を入手してください。そして再配布するソースコードにこのucodeを記載してから、再配布してください。こうすることで、改変されたソースコードを入手した人が、元になったソースコードがどれなのかを調べることができます。なお、ディストリビューションucodeを取得する際に、特にソースコードを公開する必要ありません。T-Kernelトレーサビリティサービスは、ディストリビューションucodeを付与されたT-Kernelの入手先、つまり問い合わせ先を登録していただくようになっていて、ソースコードそのものを登録するサービスではありません。


Q4

T-Kernel 2.0を改変したソースコードの再配布を検討しているのですが、元にしたソースコードが複数ある場合はどうすればよいですか。

A4

T-Kernelトレーサビリティサービスでは、再配布するソースコードの親になったソースコードが複数ある場合も登録できます。ですから、改変されたソースコードのディストリビューションucodeを入手する際に、親になったソースコードとして、それら複数のソースコードのディストリビューションucodeを指定してください。これによって、親に相当するソースコードがバージョンアップなどをした際に、子や孫に相当する改変されたソースコードの影響範囲を確認できます。


Q5

T-Kernel 2.0のソースに、一部、μT-Kernelのソースコードを混在させました。この場合のライセンスはどうすればいいですか。

A5

T-Kernel 2.0のソースにμT-Kernelのソースコードを混在させたケースや、従来のライセンスで配布されたT-Kernel 1.xxのソースコードを混在させたケースでは、従来のライセンスとT-License 2.0のどちらが適用されるか、という問題が出てきます。結論から言うと、どちらのライセンスで配布するかについて、開発者自身が決めることができます。T-License 2.0に従って再配布する場合は、A4にならってディストリビューションucodeを入手し、そのucodeを記載して配布してください。なお、T-License 2.0で配布しているAMP T-KernelやμT-Kernelについても同様にお考えください。


Q6

T-Kernel 1.xxやμT-Kernelは、T-License 2.0とのデュアルライセンスで配布されています。どちらのライセンスでダウンロードすればよいですか。

A6

どちらのライセンスでダウンロードしていただいても、ソースコードそのものに違いはありません。ただT-License 2.0は、再配布しやすいライセンスになっていますので、どちらか迷われた場合は、T-License 2.0でダウンロードされることをお勧めいたします。


Q7

T-Kernel 2.0のソースコードを使って組込み機器を開発しました。何か報告する義務はありますか。

A7

いいえ、特に報告する義務はありません。しかし、T-Kernel 2.0を使ったことを公表してもかまわないのでしたら、ぜひ公表してください。トロンフォーラムの事務局にご相談いただければ、トロンフォーラムの公式サイトでご紹介するほか、本誌でもご紹介させていただくことができます。なお、T-Kernel 2.0をご利用いただいた場合は、T-License 2.0の「利用記載義務」に従ってT-Kernelのロゴを組込み機器の起動画面で表示させたり、マニュアルの中で記載していただいたりすることになります。ただし、トロンフォーラムの会員は、申請すればこの利用表示義務が免除されます。詳しくはトロンフォーラム事務局にお問い合わせください。


Q8

T-Kernel 2.0のソースコードをチューニングして、組込み機器の開発をしている顧客に有償で販売したいと思います。ライセンス上、何か問題はありますか。

A8

いいえ、特にライセンス上の問題はありません。また、チューニング作業をされた方やそのソースコードを入手された顧客の方がトロンフォーラムの会員である必要もありません。どんどん積極的にT-Kernel 2.0を広めてください。なお、T-Kernel 2.0のライセンス上は利用記載義務がありますので、チューニングされたT-Kernel 2.0のソースコードに表示をするだけでなく、それを入手された顧客の方にも利用記載義務に沿った表示を組込み機器やそのマニュアルで行うようにお伝えください。T-Kernel 1.xxやμT-KernelなどをT-License 2.0でご利用の場合も同様です。ご不明な場合は、トロンフォーラム事務局までお問い合わせください。


Q9

改変したソースコードを、商社や販売会社経由で販売することはできますか。

A9

T-License 2.0では、フォーラムからダウンロードしたソースを自らが改変した場合、改変した「派生物」も含めて再配布可能です。

関連する条文

  • 3条2項 開発者は、本ソースコードについて、次のことをすることができる。
    • (6)本号に定める以下の条件をすべて満たしたうえで、有償無償を問わず、第1号により自ら改変した本ソースコードの派生物を第三者へ再配布すること。
  • 3条3項 開発者は、本ソースコードの派生物について、次のことをすることができる。
    • (4) 本号に定める以下の条件をすべて満たしたうえで、有償無償を問わず、配布(但し、第2条第9項第1号および第3号に定めるものを除く)された本ソースコードの派生物を第三者へ再配布すること
      この条項の赤字部分は、たとえば商用で購入したソースを勝手に再配布されては困るため、そこに言及したものです。

ソースを改変した開発者が、顧客に対してソースを販売する際、間に商社や販売会社が入ったとしても、ソースの利用に関するライセンス契約はソースを改変した開発者と顧客の間で締結されます。商社や販売会社が、開発者として顧客とライセンス契約を交わすわけではありません。こうしたケースでは、第3条2項6号が適用されます。


Q10

業者に委託して改変したソースコードを、販売することはできますか。

A10

T-License 2.0では、フォーラムからダウンロードしたソースを自らが改変した場合、改変した「派生物」も含めて再配布可能です。ではこの改変作業を業者に委託した場合はどうなるでしょうか。

関連する条文

  • 3条2項 開発者は、本ソースコードについて、次のことをすることができる。
    • (6)本号に定める以下の条件をすべて満たしたうえで、有償無償を問わず、第1号により自ら改変した本ソースコードの派生物を第三者へ再配布すること。

業者に委託してソースを改変した場合も、実質的にみると、自分自身の改変作業を業者に代行させているだけです。したがって、改変作業をした業者も、改変作業を依頼した自分自身も、いずれもトロンフォーラムのソースコードダウンロードページに登録して、同じT-Kernelをダウンロードしてください。これにより、3条2項6号に基づいて販売が可能となります。


Q11

改変したソースコードを、その販売元(ライセンサー)から提供を受けて、販売できますか。

A11

改変したソースコードの販売元(ライセンサー)から、ライセンス提供を受けた者(ライセンシー)が、顧客に販売することはできるでしょうか。
組込み業界では一般的なこうしたライセンス販売も、T-License2.0ではもちろん可能です。

関連する条文

  • 3条2項 開発者は、本ソースコードについて、次のことをすることができる。
    • (6)本号に定める以下の条件をすべて満たしたうえで、有償無償を問わず、第1号により自ら改変した本ソースコードの派生物を第三者へ再配布すること。

販売元(ライセンサー)からライセンス提供を受けた者(ライセンシー)が、改変したソースコードを販売することも可能です。この場合は、販売元の改変作業を、ライセンシー自身が行った改変作業と解釈できればよいことになります。このためには、ライセンシー自身もトロンフォーラムのソースコードダウンロードページに登録して、ライセンサーが改変作業を行ったのと同じT-Kernelをダウンロードしてください。これにより、3条2項6号に基づいて販売が可能となります。なお、ライセンシーが、ライセンサーから受け取ったソースコードやドキュメントに対して、さらに改変をした場合は、新規にトレーサビリティサービスに登録して新しいディストリビューションucodeを取得してください。


Q12

業者に委託して、T-Kernel 2.0をベースにしたソースコードを利用してソフトウェアを作りました。このソフトウェアのバイナリの形式で、誰でもダウンロードできるようにインターネット上のサイトに置くことはできますか。

A12

はい。可能です。

このケースは、ソースコードではなくバイナリのオブジェクトファイルを、誰でも入手できるインターネット上のサイトに置くことが可能かということです。身近な例としては、プリンタなど機器用ドライバソフトをサイト上に置いて利用者にダウンロードして利用してもらうというような場合です。 3条6項の利用表示を行えば、バイナリのオブジェクトファイルをインターネット上のサイトに置くことが可能です。

T-License2.xの3条3項6号では「別の開発者より配布された本ソースコードの派生物を利用して、第6項と同様の条件にて組込み製品を最終利用者に利用させること。」ができるとあります。この条文にある「第6項」とは、3条6項の利用表示義務規定を指します。即ち、利用表示を行えば、バイナリのオブジェクトファイルを誰でもダウンロードできるようにインターネット上のサイトに置くことが可能です。


Q13

Q12のケースで、T-Kernel 2.0をベースにしたソースコードを利用してソフトウェアを作らせた業者から、「バイナリの配布は構わないが、ソースの配布は避けてほしい。」といった条件提示がありました。T-License2.x上は、どのように解釈すればよいでしょうか。

A13

T-License2.xの3条2項の条文は「本ソースコードについて、次のことをすることができる」と規定しています。また、3条3項は「本ソースコードの派生物について、次のことをすることができる」と規定しています。いずれの条文も「することができる」という文言が使われています。3条2項が適用されると解釈するなら「本ソースコード」、3条3項が適用されると解釈するなら「本ソースコードの派生物」の、それぞれの具体的な形態ごとに、「バイナリは配布できるが、ソースは配布対象としない」など、業者と取り決めて設定することができます。